つづきの図書館

出 版 社: 講談社

著     者: 柏葉幸子

発 行 年: 2010年01月


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読者が本の登場人物がどうなるのか続きを知りたくなるように、登場人物たちもまた「読者の続き」を知りたがっている、という奇想の物語です。登場人物たちは本を読んでいた子どもがその後、どうなってしまったのか気になっています。そんな相談を、本から抜け出した登場人物たちから寄せられることになるのは、四十代、離婚歴ありの図書館司書、桃さん。桃さんは戸惑いながらも、登場人物たちと一緒に「読者」を探して、「続き」を調べていきます。現実世界に飛び出した無茶苦茶な登場人物たちの突飛な行動に翻弄されながら、桃さんが、その本に関わっていた人間たちの物語を紐解いていく、非常にユニークなお話です。そうした中で、桃さん自身の物語もまた明らかになっていく、柏葉幸子さんの手腕の光る見事な物語です(本当、柏葉幸子さんの物語を読むたびに「見事だなあ」と感嘆してしまいます)。