図書室のキリギリス

出 版 社: 双葉社

著     者: 竹内真

発 行 年: 2013年06月


図書室のキリギリス  紹介と感想 >
行方不明になった夫との離婚を決めた主人公が、教員の友人のツテで得た仕事は高校の学校図書館司書の臨時雇用でした。生徒たちや教職員と関わりあいながら、本にまつわる物語が展開していきます。注目したいのは、中途半端な雇用条件や不合理な制度下でも、どうにかより良い学校図書館を運営していこうかという主人公のスピリットづす。学校図書館司書の雇用形態や、その仕事、司書教諭との違いなども詳しく知ることができ、興味深い本です。沢山の本の名前が登場しますが、わりと一般的な本の話題が多く、良い意味で文学趣味に走らない(マニアックにならない)、広範な読書趣味が語られることも特徴かと思います。児童文学系で俎上に上るのは、ライラントの『ヴァン・ゴッホ・カフェ』ぐらいでしょうか。そうしたエッジの効いたチョイスと、『ハリーポッター』の話が並行するあたりも多面的であるかなと。フラットでライトな感覚の読書話です。