ぼくだけの山の家

My side of the mountain.

出 版 社: 偕成社

著     者: ジーン・クレイグヘッド・ジョージ

翻 訳 者: 茅野美ど里

発 行 年: 2009年03月


ぼくだけの山の家  紹介と感想 >
男の子なら一度はやってみたいと思うこと。それは家出です。ニューヨークから深い森へ。アーバンな世界を離れて、いっきに自然の中へ。巨大な山の木を住み家にして、ハヤブサやアライグマ、イタチを友として、狩猟と採集で暮らす、なんてことは少年の夢想という感じなんだけれど、これを実践するとどうなるかという物語です。普通なら、親や学校が障壁になるのに、そのあたりノー問題の潔さで、ドンドンと進んでしまうのが、このお語の都合のいいところです。親公認で家出をしたサム少年は本で得た知識を頼りに自然生活を満喫します。なんというか、ただそれだけの話なんだけれど、ワイルドライフのディテールの濃さと、人間関係のイージーさがマッチしていて、楽しい物語になっています。無論、自然の恩恵と脅威も体感していきます。少年の「森暮らし」というものも『ひとりぼっちの不時着』みたいなサバイバルとなると悲惨なんだけれど、準備万端、覚悟の上なら、楽しめる冒険になります。自分一人が収まるスペースにすっぽりと隠れて暮らす、というのは、児童文学でも良く見かけるところですね(天井裏、地下室、おしいれなどなど)。秘密の隠れ家も美術館やら地下鉄坑内やらドキドキさせられるものが多いものです。この話の「大木のうろ」というのも、それだけで魅力があります。山中の「大木のうろ」に隠れ住むなんて、それだけで少年時代の憧れだったかと思います。ところで、「大木のうろ」というと、世代的に「ピンポンパン」のオモチャが思い出されます。幼児期の憧れが刷り込まれているせいか「大木のうろ」には弱いですね。