だぶだぶさぶちゃん

出 版 社: 偕成社

著     者: 竹崎有斐

発 行 年: 1974年07月

だぶだぶさぶちゃん  紹介と感想>

小学校一年生のさぶちゃんは、お母さんが作ってくれた服を着ています。成長を見越しているので、サイズは大きめに作られているので、いつも服はだぶだぶです。だからだぶだぶさぶちゃん。体がちょうど服にあった頃には服がすり切れて着れなくなっているという、そんな悪循環はユーモラスなところ。お父さんはトラックで配送の仕事、お母さんは看護師として働いている、さぶちゃんは「カギっ子」でした。週に一度、お母さんは夜勤があるため、さぶちゃんにお父さんとの晩ごはんのおかずを買ってくるようにお金を託していきます。さて、その日もさぶちゃんは、お母さんから、散髪代とコロッケ四個を買うお金を託されて、おつかいの買い物に出かけます。ところが途中で野球に誘われてしまい、なかなか理髪店に行けません。遅れたさぶちゃんは、髪を半分だけ切ってもらい時間もショートカットすると、マーケットのお肉屋さんに向かいます。ところがコロッケは売り切れ。カツを勧めるお肉屋さんのおしゃべりなおばさんに、さぶちゃんは交渉して、根負けしたおばさはコロッケを揚げてくれます(コロッケ四個よりカツ二枚の方が高い、という計算もさぶちゃんはしているのです)。しかも、一個、よけいにできたからと、オマケもしてくれます。お父さんは残業でなかなか帰ってこられず、先にオマケ分を食べてしまって、寝てしまい怖い夢を見るという展開。最後はお父さんがさぶちゃんへのプレゼントに、だぶだぶじゃない野球のユニフォームを買って帰ってきてくるという幸福な展開が待っています。おなかがぺこぺこなのも忘れて、さぶちゃんはうれしさのあまり部屋中をころげまわります。そんな楽しい物語なのですが、現代(2020年) 視点で見ると、この子どもの放置状態は問題にされそうな気がします。当時の子どもの日常感や、さぶちゃんが愛されていることが伝わってくる物語の雰囲気がなんとも良いので、是非、慈しんで欲しい作品です。